「クラウドサービス+楽商フーズ」の組み合わせで、40カ所の食堂すべての注文データ現場入力に成功。

業務部担当主任の山口宏氏

導入の背景

システムの統括者が日々の受注入力に忙殺される

東京都墨田区東駒形に本社を置く株式会社マルベル(以下、マルベル)は、1921年(大正10年)、東京浅草でプロマイドを販売するマルベル堂として出発しました。なお、スターの写真を「プロマイド」(半濁点)と呼ぶのはマルベル堂の商品名であり、「ブロマイド」(濁点)は一般名称です。
1952年、マルベル堂はレストランの開店を契機として、1964年には食堂運営を行うようになり、産業給食界に参入します。
「企業・官公庁・研修所・寮などの社員食堂、高校・大学などの学食、公共施設のカフェ・レストランの運営を、料理人・パートなどの人材派遣から調理、食材管理、予算管理に至るまで、一括して請け負ってきました。現在は、東京、川崎、横浜、静岡、三重など、約40カ所の食堂運営を受託しています」と説明するのは、株式会社マルベル カネタマルフーズ事業部 業務部担当主任の山口宏氏です。
拡大する食堂運営事業を支援するため、1970年には、食材を一括購入する「株式会社金多丸食品」を設立しました。金多丸食品は、東京都日野市に本拠を置く食材卸会社として39年間活動しましたが、2009年、親会社のマルベルと合併。業務内容は従来と同じですが、マルベル・カネタマルフーズ事業部となりました。
「食材に限らず、箸、ラップ、洗剤、手袋、長靴など、食堂で使うあらゆる物を仕入れて、食堂現場へ社内納品しています。そのほか社外の顧客も少しありますので、納品先は約50カ所です」と山口氏。配送には自社保有のトラック3台を使っています。

販売管理システムには、オフコンからパソコンソフトまで3種類を使ってきましたが、当初から変わることなくずっと苦労してきたのが売上入力作業でした。
商品アイテムは約5000種類、仕入先は約80社ですが、この5000アイテムの内容を理解していないと商品名を入力することが全くできないのです」と山口氏。
例えば、食堂現場からの注文FAXに「調味料1箱」と書いてある場合、「20袋入りと50袋入りの箱があるが、あの現場なら20袋入りだろう」と山口氏なら想像して入力することができますが、パートタイマーでは判断が困難です。「いつもの商品」が、個々の現場によって大きく異なるからです。
また、「オリーブ油」と書くべきところを、注文者が間違って「油」と書いてきただけで、入力補助者ではもうわからなくなってしまいます。加えて、商品名のひらがな/カタカナ、大文字/小文字表記を、商品マスターと少しでも異なる文字入力をしてしまうと、コード番号が表記されないというシステムの不便さもありました。

「現場の数が増え、商品の出入りが増えたため、何人かに入力補助をしてもらいましたが、結局わたしがFAXや電話メモを見ながら、全件の最終チェックをしなければなりませんでした。この入力チェックのために、土曜日は休むことなく出勤していたのです」と山口氏は当時の苦労を語ります。システム開発/管理の統括者である山口氏が、正確な受注データ入力の責任を1人で背負う状況が長年にわたって続いていたのです。

業務部担当主任の山口宏氏

業務部担当主任 山口宏 氏

導入のポイント

「ハンディターミナル+楽商フーズ」で入力の手間が5割削減

解決の糸口が見えたのは2007年のことでした。ハンディターミナルを使った販売管理システム「楽商フーズ」のシステム提案が、JSTからダイレクトメールで郵送されてきたのです。
「食品業界向けの販売管理システムはいろいろ提案をもらっていましたが、システム単体の説明が中心で、こちらから質問すると、『ああ、ハンディターミナルもオプションで使えます』と付け加える感じの製品ばかりでした。最初から、『ハンディターミナルを使って、現場で受注入力しましょう』というシステム像を提案してきたのはJSTだけです。とても印象的であり、この『楽商フーズ』なら、わたしが望んでいたシステムを実現できるのではないかと思いました」と山口氏は言います。
バーコード一覧表を現場に配っておけば、キーボードを打ったり商品コードを記憶する必要なしに、簡単な読み取り操作で食材注文ができること、FAX回線がある現場なら、新規にネットワークを敷設しなくてもハンディターミナルが使えるようになるため、パソコンを張り巡らすネットワークよりもはるかに安価に受注ネットワークを組めることなどが、ハンディターミナル・システムの魅力でした。
「包丁ひとすじで生きてきて、コンピュータなど使うつもりはないという料理人もいましたから、キーボードを打つパソコンよりも、ハンディターミナルのほうがまだしも抵抗感が少ないという利点もありました」と山口氏は語ります。

2007年6月に「楽商フーズ」を導入し、2008年1月から本稼働を開始しました。FAX回線がないなどの事情で、現場の完全カバーはできませんでしたが、ハンディターミナルを33台導入し、現場の7割程度をカバーしました。
「7割カバーでも効果は大きかった。FAXや電話の注文を手入力していたころに比べて、業務部の手間は半分以下に激減し、ミスも減りました。入力補助は不要になり、わたし1人でこなして土曜日も休めるようになりました。『やつれていたのが、笑顔に戻りましたね』と社内で冷やかされたくらいです」と山口氏はにこやかに語ります。
楽商フーズのデータは簡単な操作で表計算ソフトへ出力できるため、本社に提出する報告書や資料を短時間で作成できるようになったのも副次的な効果です。連帳タイプの複写紙へ大量印刷していた社内請求書も、通常のオフィスプリンタでA4用紙出力するようになり、印刷・郵送準備・控えファイリングにかかっていた手間とコストが一気に削減できました。

「クラウドサービス+楽商フーズ」で入力の手間はさらに激減

大きな省力効果を上げたハンディターミナル・システムですが、導入して5年も経つと、いろいろな問題点が指摘され、その解決策も検討されるようになってきました。
「各現場が使いやすいようにバーコード一覧表を編集して40種類も作成し、配布して保守するのに手間がかかりました。5~6年経つうちには、料理人も携帯メールを自分で入力したりする社会環境になりましたから、『バーコード一覧表のページを繰って入力するのは手間がかかる』と、不満の声が聞こえてきました」と山口氏。現場カバー率が7割にとどまっているため、省力効果が広がっていかないのも課題になっていました。

こうした問題を解決する方策として、クラウドサービスが浮上したのは2013年のことです。
クラウドサービスであれば、本社と食堂間にVPN網を張り巡らすという大きな投資をしなくても、現場40カ所すべてにインターネット接続環境を整備するだけでネットワーク化できます。
しかも楽商フーズは、販売管理システムの基盤をそのまま使い続けながら、受注データ入力のフロント部分だけを、ハンディターミナル利用からクラウドサービス利用へと柔軟に切り替えることが可能でした
「クラウドベースの販売管理システムへの全面入れ替えに比べて、楽商フーズのフロント部分だけを入れ替える方法なら、3分の1以下のコストで済むというメリットもあります。楽商フーズは食品卸の業務を網羅していますし、JSTのエンジニアのすばやい対応には満足していますから、この基盤はずっと使っていきたいのです」と山口氏は語ります。

「『BtoBプラットフォーム 受発注』は、納品伝票や請求書などを作る機能を持っていませんが、当社にとってはそこがかえって都合がいい。注文したい商品の入力だけをクラウドサービスでシンプルに行い、後処理は楽商フーズにすべて任せる流れをスムーズに構築できました」と山口氏は説明します。
フロント部を担うクラウドサービスとしては、インフォマート社の「BtoBプラットフォーム 受発注」を選びました。楽商フーズと連携しやすいことに加えて、40拠点を安価に接続できること、入力画面がシンプルでわかりやすく、パソコンやWindowsの操作に慣れていない人でもとっつきやすい点などを評価しました。食堂の現場は、厨房を全部片づけてから夜遅くに入力することが多いのですが、クラウドサービスは24時間対応しているので、この点でも便利です。

構成図

導入の効果

フロントシステムと楽商基盤を分けて考えると 今後の大変革も可能に

2014年暮れ、クラウドサービスの利用を開始しました。
40カ所の現場で入力した注文情報はクラウド上に蓄積されており、定期的にCSV形式でダウンロードし、楽商フーズに取り込みます。入力データにチェックをかけられるように、取り込み作業はわざと手作業にしているとのこと。楽商フーズ側では、「一括出荷計上処理」という取り込み用メニューを作った程度で、カスタマイズはほとんど発生しませんでした。
クラウドサービスの導入を契機として、ついに現場すべてが、『注文品は自分で入力する』という体制になりました。業務部の受注入力の手間はさらに削減され、間違いも激減しましたと山口氏。
楽商フーズ導入以前、受注入力にかかっていた時間を「10」とすると、ハンディターミナルのシステム導入で「5」に半減し、クラウドサービス導入によってさらに「2」まで激減したというイメージだということです。

今後も、商品の価格変更のしくみを自動化するなど、細かな手直しを加えながら、より使いやすい販売管理システムへと育てていく計画です。「ハンディターミナルは倉庫で棚を見ながら発注作業ができたが、パソコンだと紙にメモしてから事務所に戻らないと発注作業ができないので、そこは不便になった」という現場の声に応える対策も講じていくかもしれません。
今回、楽商フーズとフロント部分を分けて考えてみたことで、少ない投資で思い切った変革・革新を実行していく道が開けたと感じました。これからも、クラウドとはまた別の新技術が次々に登場するでしょう。楽商フーズで基盤を盤石なものとしつつ、受注入力のフロント部分はその時点、その時代で、最も良い技術を採用して組み合わせるというやり方が、有効ではないかと思っています」と山口氏は語ります。
連携するのは、ハンディターミナルでもパソコンでもVPNでもクラウドでも、あるいは次世代の最新技術でも大丈夫。楽商フーズは、時代と共に進化しながら販売管理システムのベースを支えていきます。

笑顔で対応して頂いた山口氏

笑顔で対応して頂いた山口氏

株式会社マルベル カネタマルフーズ事業部

代表者:代表取締役社長 三ツ澤 博 / 業種:業務用関連食材卸業
事業内容:1.プロマイド販売・写真スタジオ
     2.宅配弁当
     3.食堂受託運営
     4.厨房用品卸の4事業を展開
URL:http://www.marubell.co.jp/

株式会社マルベル カネタマルフーズ事業部 様ロゴ

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