導入の背景
手書き伝票をなくしたい、煩雑な加工管理もシステム化したい
創業1964年。東京・世田谷区に本社を置くエヌエスユニ株式会社(以下、エヌエスユニ)は、ユニフォーム販売で50年以上の歴史を積んできました。「取扱商品は作業服を中心に、帽子、ヘルメット、安全靴、手袋、靴下、防寒着など1万アイテム以上にのぼります。取引先は百数十社ですが、納入先というと北海道から沖縄まで1,000カ所以上あります。全国に拠点を持つ大企業から、個人のお客様の1点注文まで、とにかくきめ細かい対応ができるのが当社のセールスポイントです」と、経理担当の山下氏は紹介します。
これまでは、このきめ細かい対応を、注意深い手作業の積み重ねで支えてきました。
「販売管理システムは使っていましたが、売掛処理をして納品書と請求書を作る機能だけしかありませんでした」と、営業課長は1年ほど前までの不便さを振り返ります。
受注伝票、ユニフォームメーカーへの注文書、加工手配書などはすべて複写伝票へ、そのつど手書きです。特に、名入れ刺繍などを加工先へ指示する加工手配書は、資料にある企業ロゴやFAXされてきた手書きのデザインをコピーして貼り付け、糸番号を記入し、さらに特別な注意点を書き込むなど、1件分を作成するごとに大変手間がかかっていました。
紙の情報は、再利用しにくいのも大きな問題でした。
ユニフォームは、一度定めたデザインや企業ロゴのルールのもとで、サイズ違い・カラー違いを追加注文するのが最も多い注文パターンです。つまり、過去の受注履歴と加工履歴をすばやく再利用できる体制を整えておかなければなりません。それが紙では、非常に困難だったのです。
「1年から3年程度であればすぐに対応できるのですが、『10年前に注文したのと同じ仕様で』と言われるとかなり苦労します。台帳、見積書の束などをひっくり返して探し、受注・発注の履歴と価格を確かめ、胸の刺繍の加工指示まで正確に確認して書き写すのに10分はかかるでしょう。そのたびに、『何年も前の履歴であっても、すばやく探せるようにしておきたい』とため息をついていました」と経理担当の山下氏。
しかも、販売管理の旧システムは導入から約15年を経ており、すでにサポート切れとなっていました。「Windows98ベースですから、動きも遅い。次に故障したら、もう業務が止まってしまうのではないかと毎日心配でした」と、経理担当の山下氏は、かなり切羽詰まった状況になっていたことを明かします。
手書きの伝票をなくして、業務全体をシステム化、効率アップしたい。加工管理もシステム化して、受発注履歴の検索からデザインの確認・再利用まで、1台のパソコンの中で一貫してやれるようにしたい。「こういうことが実現できれば、最終的に、お客様へのサービスの質が上がります。ユニフォーム販売会社で一番大事なことはきめ細かい顧客サービスですが、販売管理システムを刷新することは、きちんとした顧客サービスを提供できる環境を整える準備作業だと捉えています」と経理担当の山下氏は強調します。

不便さを振り返る営業課長
導入のポイント
加工管理を標準機能でシステム化できた業界専用パッケージ
システムを刷新するにあたっては、アパレル・ファッション業界向けの販売管理パッケージをいろいろ探し、ベンダーへ問い合わせ、見積りを依頼しました。機能の過不足を確かめ、カスタマイズできるか、カスタマイズ料金はどれくらいになるか、やりとりするうちに数カ月が経っていました。
「JSTは動きが速かったですね。電話したらすぐに見積りを持って当社へ来てくれたのは、JST1社だけでした。他社はメールやFAXですから、数日とか1週間とか後に話が始まるわけです。ところがJSTは、初対面のその場でシステムを動かして見せてくれて、こちらの質問にも答えてくれて、カスタマイズの話までできました。スピード感、そして熱意が群を抜いていました」と経理担当の山下氏は語ります。
機能面でも、加工管理の機能が標準で用意されているのは、「楽商カラーサイズ」だけでした。
これまでエヌエスユニが使用してきた旧システムは、汎用的な販売管理システムであったため、加工管理は発想そのものがなく、伝票手書きで処理するしかありませんでした。新規に検討したアパレル業界向けのパッケージも、加工管理の機能は備えておらず、システム化するなら開発費を投入してカスタマイズしなければならないのだなと考えていたところでした。
ところが「楽商カラーサイズ」は、ユニフォーム販売・製造業に特化した販売・在庫管理システムですから、加工管理の機能はもちろん、得意先別・カラー別・サイズ別で単価を登録する機能なども標準で備えています。加工管理をシステムする道が、一気に開けました。
リピート注文入力がスムーズにできるように設計されているのも「楽商カラーサイズ」の魅力です。つまり、過去履歴を検索したら、そのデータを流用して新規入力をする作業を、業務処理の標準的な流れとして運用しやすくなっているのです。
リピート注文の多いエヌエスユニにとって、リピート注文入力は、入力作業をスピードアップするうえで不可欠な、心強い機能でした。
しかも楽商は、コストパフォーマンスも最も優れていました。
「楽商は、必要な機能がきちんとそろっていて、しかも安い。他製品は楽商に比べると、見積料金が3倍程度でした。ある製品は、加工管理の機能がまったくない状態で楽商の2.5倍でしたから、カスタマイズしたら4倍、5倍になるだろうと予想されました」と経理担当の山下氏。
さらに、「楽商はメンテナンス料金も安い。旧システムではあまりにも高かったので、メンテナンス契約をしないで運用していました。今は安いうえに、JSTの対応がすばやく的確なので、とても助かっています」と、営業担当者は言葉を添えました。
受注入力段階から加工指示デザインが同時表示されるようにカスタマイズ
エヌエスユニは、2015年7月に「楽商カラーサイズ」を導入し、同年10月に本稼働を開始しました。同時に社内LANを構築し、営業から経理まで社員全員が1人1台の環境で、情報共有できる体制を整えました。
旧体制からの移行をスムーズに行うためには、いくつか工夫をしました。
まず、最初は従来と同様の売上入力・納品書入力のみを行い、2~3カ月後に操作に慣れてから受発注入力を開始するという形で、利用する機能を段階的に拡大していきました。利用機能を拡大するタイミングでは、講習会も行いました。「機能を1つ1つ、いろいろなパターンで試してから、半年ぐらいかけて入れていったのです」と営業担当者は語ります。
システム側でも、楽商の作業途中に、旧システムのデータをテキスト形式で参照できるようにしました。「履歴を検索し、それを流用して新規入力をする」という作業の流れを、まだ履歴が蓄積されていない使い始めの段階から、体得することができたのです。
また、カスタマイズを柔軟に行えるのは、楽商シリーズに共通する特長です。エヌエスユニでも、入力画面や作業手順など、業務効率を高めるためのカスタマイズをいくつか加えました。
最も注目されるのは、加工管理でロゴデザインなどを登録したら、データ入力の画面でもその画像を確認できるようにしたことです。
「履歴検索してリピート注文入力するとき、文字や数字だけでなく、デザインも引っ張ってこられるようにしました。デザインを間違えるとすべてが台無しですからね。今は、受注入力という最初の段階からデザインを確認しながら数量入力ができて、その画像が加工指示までずっとつながっていきます。受注、発注、加工指示、納品を間違いのない形で一貫できるようになりました」と経理担当の山下氏。

導入の効果
受発注から加工管理まで一貫してシステム化、業務効率が大幅アップ
「システムが最新環境になったため、信頼性が高まり、処理スピードもアップしました。楽商は使いやすく、動作も速い。業務処理にかかる時間も短縮できました」と、営業担当者はシステム刷新の効果を評価しています。
業務のスピードアップには、台帳を繰ることなく過去履歴をすばやく検索できる事と、検索した情報を使ってリピート注文入力をすばやく行える事の2点が、大きく貢献しているといえるでしょう。
「それだけではありません。受発注から加工管理まで、業務全体を1つのシステムでカバーしていますから、同じデータを重複入力する場面がなくなりました。見積りでいったん入力したデータは、納品書にまでつながっていきます。加工手配書の情報も、加工業者への作業指示だけでなく、お客様の問い合わせ対応や社内の情報共有など、幅広く利用できるようになりました」と、営業担当者は指摘します。

システム刷新の効果を語る営業担当者
また営業課長は、営業現場の立場から、システム移行の苦労と効果の両面を語ってくれました。
「これまでも営業は、基本的な情報は自分で入力していました。しかし、基本的には手書き中心だったのがパソコン中心に変わりましたから、最初は戸惑い、混乱しました。入力しなければならない項目が増えて、負担も増えました」。
けれども使い続けていると、いちいち手書きするよりも、リピート注文入力を利用したほうが速いと感じるようになってきたということです。
「特に毎朝の作業ですが、今までは客先へ持参する納品書を入力・印刷するのに手間取っていました。ところが現在は、普段の受注入力さえちゃんとやっていれば、納品書でも加工指示書でもその場ですぐに印刷できます。朝、お客様のところへ出かけるタイミングが明らかに速くなりました」と営業課長。

楽商を利用している様子
経理担当の山下氏は、「当初の希望よりはるかに良いものを、JSTは作ってくれました。無理ならば手作業が残ってもいいと思っていたくらいなのに、きちんと細かいところまでシステム化できました。複写式の専用伝票をわざわざ印刷して用意する必要がなくなり、事務経費も削減できています」と評価しています。
それでも、「たくさんある楽商カラーサイズの機能の4分の1ぐらいしか使っていない気がします」と経理担当の山下氏は言います。今後やりたいこともたくさん控えているのです。
「メーカー品にはバーコードがついていますから、商品のピッキングと入荷処理は、ハンディターミナルを使って効率化したいですね。ゆくゆくは当社倉庫の在庫管理もやりたい」。
「タブレットを利用して出先でも受注入力ができれば、お客様への納品のタイミングをスピードアップすることもできるでしょう」と、営業担当者も指摘します。
ユニフォームの顧客は、暑くなったり急に寒くなったりすると、「急いで納品してくれ」とせかすことが多いそうです。注文をいただいてすぐに加工指示まで手配できれば、納品を早めることができて、顧客サービスにつながるでしょう。
今後、佐川急便の送り状システム「e飛伝」との出荷情報連携も近いうちに使い始める予定です。通販連携の機能も利用していきます。
時に応じてさまざまな機能拡張を行っていける、「将来に向けての大きな可能性」を手に入れることができたのも、楽商の導入効果のひとつなのです。
エヌエスユニ株式会社 様
代表者:代表取締役社長 山下 富成 / 業種:制服・作業服販売
事業内容:作業服、帽子、ヘルメット、安全靴、手袋、靴下、防寒着等の販売・卸売
URL:http://www.nsuni.co.jp/

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