CRM機能を活用して特注品を管理。
情報の一元管理と社内共有を実現して、問い合わせ対応が格段に効率アップ。

取締役 小野崎 綾子氏

導入の背景

1万アイテム以上の商品を 高精度に売上・仕入・在庫管理したい

千葉県佐倉市に本社を置く株式会社フジヤ(以下、フジヤ)は、1975年の創業から40年の長きに渡って、鍵と錠前の卸売・小売業を営んできました。現在では、千葉県八千代市、印西市、習志野市に合計3店舗を展開して、鍵、錠前、表札、防犯用品の卸売・小売と、錠前、フィルムの施工を幅広く手掛けています。
「北海道から九州まで、全国のホームセンター卸しています」と、取締役の小野崎綾子氏は紹介します。他に、一般小売店、不動産業、リフォーム業者も卸・小売の客先であり、合計約1,000件の多様な納入先と、120~130社の仕入先とを確実に結ぶ役割を果たしてきました。
「当社の強みは、顧客の要望にきめ細かく応えられることです。ホームセンターの定番商品以外の商品、特注品1個でも迅速に対応します」と小野崎氏。
鍵・錠前の種類はさまざまです。
また入居者が変わるので玄関錠を変えたいが、ドアを施工せず、シリンダー錠のシリンダー部分だけ入れ替えて対応したい、あるいは、握って回すタイプのドアノブを、内側だけ押して開くレバーハンドルに取り替えたいなど、利用者の要望も千差万別です。
フジヤが扱う鍵・錠前商品は、定番品約7,000アイテムに個別仕様の特注品が加わって、1万アイテム以上にのぼります。
しかし従来使っていた販売管理システムは、伝票発行が主目的になっていて、膨大な種類の商品の動きをきちんと管理する機能が整っていませんでした。
売上、仕入、そして特に在庫を、きちんと管理したい。誤出荷をなくすために無線ハンディターミナルも導入したいというのが、年来の課題だったのです」と小野崎氏は言います。

取締役 小野崎 綾子氏

取締役 小野崎 綾子氏

導入のポイント

ハンディターミナル、CRMなどの新機能を ローコストで導入できた「楽商」

精度の高い売上・仕入・在庫管理を実現するために、フジヤでは、旧システムをリプレースして機能強化する方法と、まったく新しいパッケージ製品への入れ替えとを、並行して検討しました。
最終的に、最も投資効果が高いと判断したのが、「楽商 標準版」の新規導入です。

「いろいろ探してみましたが、卸業に合った販売管理システムはあまりありませんでした。小規模企業向けのパッケージだと、万単位のアイテムをきちんと在庫管理することができません。かといって、汎用性の高い大規模なパッケージを導入すると、使わない機能が多いにもかかわらず高価であり、カスタマイズも随所で必要になります。これに対して楽商は、ちょうど必要十分な機能を網羅していました。楽商は、年商5億~10億円という当社の事業規模にぴったり合致した『卸業向けのパッケージ』だったのです」と、情報システム部の宮崎勝夫氏は説明します。

もうひとつ重要なポイントになったのが、多彩なオンライン連携を確実に、しかもローコストで構築できることでした。「ホームセンターが顧客である当社にとって、オンライン連携は生命線です」と宮崎氏は言い切ります。
しかし、ホームセンター各社が求めるEDI/EOSの手法は、最新のWeb-EDIから、JCA手順のレガシーEDIまで多種多様です。さらに、ホームセンター以外の小売店でも、専用線EDIからWeb-EDIへ、あるいは、FAX発注からWeb発注へと、接続方法が変遷しています。将来的には、DIY協会の流通BMS接続を求められる可能性も考慮しておく必要があります。
楽商は、システム本体はまったくいじらずに柔軟なオンライン接続ができますから、将来の変化にもスムーズに対応していけるでしょう」と宮崎氏は言います。

カスタマイズしやすいのも楽商の特長です。
使用前はもちろん、使い始めてからも、きめ細かいカスタマイズをローコストで付け加えていくことができます。
「わたしは前職で汎用機システムを使ってきましたから、実はパソコンのパッケージというものに不安感を抱いていました。けれども楽商なら、カスタマイズの自由度と高信頼性とを兼ね備えていて、投資する価値があると感じたのです」と宮崎氏は明かします。
しかも、旧システムのリプレースに比べて、導入コストを約4割、低く抑えることができました
「無線ハンディターミナル、CRMなどの新機能を加え、クライアントPCの台数も大幅に増やしつつ、最小の投資で、システムを根本から刷新できました」と宮崎氏。
クライアントPCは従来は2台でしたから、入力と帳票作成作業で手一杯で、問い合わせ対応やデータ分析に使う余裕がまったくありませんでした。楽商は、ライセンス料金が従来製品よりも格段に安いため、合計9台に増やして、事務担当者全員が使える環境を整備できたのです。

また、年間保守料も、従来の約3分の1にコスト削減できました
「これは使い始めてから実感したことですが、JSTのサポートは非常に良い。当社は、顧客であるホームセンターに合わせて年中無休で営業しているのですが、JSTの営業担当者は、いつもタイムリーで親身な対応をしてくれます」と小野崎氏はにこやかに語りました。

情報システム部 宮崎 勝夫氏

情報システム部 宮崎 勝夫氏


CRMによる特注品管理で、問い合わせ対応が格段に効率化

フジヤでは、2012年12月に楽商を導入しました。
新しく加わったCRM(顧客管理)の機能は、特注品の管理に活用しています。フジヤの受注は、7~8割がオンライン、2~3割が電話やFAX経由です。特に「客注」と呼んでいる特注品は、電話とFAXで受けることになります。
「まず問い合わせ電話が非常に多く、その対応に膨大な時間を取られているのを改善したかったのです」と小野崎氏。
全国のホームセンターの店頭などからは、「お客様から、『ドアノブと鍵をこういう組み合わせにしたい』という要求がありましたが対応できますか」などの問い合わせ電話がひっきりなしにかかります。客注の内容を確認し、仕入先へ問い合わせて見積を作成し、提出し、金額が了承されれば受注処理に入るわけですが、週明けは問い合わせが集中するため、月曜1日でこの問い合わせ処理を100件以上こなすこともあります。
「土曜日に送ったFAXは届いていますか」という確認の電話もたくさんかかってきますから、FAX受信紙と電話メモは、一刻も早く全件入力しておかなければなりません。さらには、進行状況を照会する電話へ答えながら、受注に至るまで継続的に特注品1件1件を個別管理していくことになります。
「従来は、表計算ソフトで管理していましたが、件数が万単位ですから、複数のファイルに分けるしかありません。全体履歴を追えないので不便でした」と宮崎氏は語ります。

現在では楽商のCRMを使って、問い合わせ履歴、電話応答の内容などをすべて入力しています。データベースですから、何万件でも一元管理できます
マスターは楽商システムと一体ですから、メンテナンスを特に行わなくても、いつでも最新の得意先データを使うことができるのも便利なポイントです。
画面1つを見れば、必要な情報が完結するようになりました。1件ごとの進行状況もわかりますし、見積書や受注の番号もわかります」と小野崎氏。
検索しやすいのも、データベースならではの特長です。
得意先名を入力して一覧表を表示させて、目的の案件へ最短時間で行き着くことができます。
しかも、入力内容をみんなで共有できるようになりました。誰かが入力業務をしているときに、別の人が電話を受けて過去データを検索するといったことがあたりまえにできます。9台に増えたクライアントPCを事務担当者全員が活用して、電話レスポンスも、特注品管理の業務全体も、格段にすばやくできるようになりました」と小野崎氏。
問い合わせ対応を効率化するカギは、情報の一元管理と社員間での情報共有にあるといえそうです。

構成図

導入の効果

無線ハンディターミナルによる出荷検品で誤出荷を削減

3台の無線ハンディターミナルの導入によって、ピッキングから出荷までの作業の流れは大きく変わりました。
オンライン処理、または電話・FAX注文の入力処理を経て、作成される出荷指示書は、倉庫の棚番の順で出力されるようになり、ピッキングがやりやすくなりました。
出荷検品は、出荷指示書に印刷されている得意先バーコードを無線ハンディターミナルで読み取りながら行いますから、ピッキングミスを防ぎ、さらには、その顧客の受注残などもチェックしながら正確に行うことができます

新システムの利用が定着した2015年7月には、棚卸にも無線ハンディターミナルを使いました
「以前は商品名から個数まですべて手書きしてチェックした後、表計算ソフトに入力し、価格はいちいち過去データを探して入力し、集計していました。今は、数える人が個数を書いた付箋を棚に貼っていき、無線ハンディターミナルを持った人が追いかけて、商品コードを読み取り、個数を入力すれば、あとの集計処理はあっという間です」と小野崎氏。

倉庫での出荷検品作業

倉庫での出荷検品作業

宮崎氏は、「特注品にはバーコードを振っていないので、今はこういう2人作業、2段階作業になっています。1~2年以内に、特注品を含めて全商品にバーコードを振り当てたい。そうすれば、仕入検品、出荷検品から、棚卸まで、無線ハンディターミナルの読み取り作業だけで一貫できるようになります」と説明しました。
無線ハンディターミナルに加えて、本社と店舗のVPN接続も、業務効率化に大きく貢献しています。従来は、売上入力から請求書発行まで、店舗の業務は店舗の表計算ソフトで処理しており、月1回、表計算ソフトのファイルを本社へ送って全社集計をしていました。新システム導入を契機に、1店舗を本社とネットワーク接続したところ、情報の一元管理と共有が非常に業務効率を高めることを痛感。残り2店舗もVPN接続することになり、準備を進めているところです。

倉庫での出荷検品作業

倉庫での出荷検品作業

在庫、受注残、発注残まで「見える」ようになった

販売管理システムを刷新した最大の効果は、在庫が見えるようになったこと。何かあったときにも、倉庫へ走って見に行く必要がなくなりました。また、在庫、受注残、発注残まで見えるので、発注をより適切に行うことができるようになりました。『見えるようになった』という効果は大変に大きい」と小野崎氏は強調します。
欠品も、誤出荷も、着実に減少中です。
「ホームセンターは欠品管理がきわめて厳しくて、『今月の納品率は99.1%でした』などの通知をくれます。当然ながら、欠品率の高低で卸業者をランキングしていることでしょう。売上、仕入、在庫をシステムで確実に管理できるようになったことは、ホームセンターと安定した取引を続けていくうえでの大きなプラスです。卸業に特化したシステムだったから良かったのでしょう」と宮崎氏は言います。
さらに小野崎氏は、「システムで管理すると、人間が何度もチェックを重ね、気を遣って維持してきたレベルを手間をかけずに達成することができ、さらにもう一歩精度を上げることもできます。現段階では、欠品率や適正在庫を『何パーセント向上』といった数値で言うことはできませんが、大きな前進をしたと思っています」と語ります。
例えば、システムで管理することで欠品を減らす環境が実現できたわけですが、さらに一歩進んで、発注点管理も実行しようと考えています。商品毎に発注点を設定しておき、その数量を下回ったものを一覧表示させてチェックしながら、より高い精度で発注漏れをなくしていく予定なのです。

また、「見える」ようになった商品の動きを、さらに分析・把握するためには、データベースからユーザーが簡単に集計を行える明細自由集計表の機能も活用しています。
「『客先毎、商品毎の時間経過を見る』など、『コレとコレとコレを比較したい』ということがやりやすい。そのときに必要なものを業務の言葉で考えて、パッと見ていけます。強力なデータベースを、誰でも使いこなせるようにしてあるのですね」と宮崎氏。

今後は、無線ハンディターミナルの適用範囲を拡大しながら、社内ルールの整備も進めて、在庫の精度を高めていきたいと考えています。
「システム化はまだ端緒についたばかり。やりたいことはたくさんあり、システムの機能強化にも継続して取り組んでいかなければなりません」と宮崎氏は力強く語りました。

笑顔で対応して頂いた小野崎氏

笑顔で対応して頂いた小野崎氏

株式会社フジヤ 様

代表者:代表取締役社長 遠藤 健太郎 / 業種:錠前卸売・小売業
事業内容:鍵と錠前、表札、防犯用品の卸売・小売、錠前とガラスフィルムの施工
URL:http://www.kagi-fujiya.co.jp/

株式会社フジヤ 様ロゴ

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