液体調合の3,000種類の処方箋をデータベース化して、プロセス系製造業における販売/生産/在庫の一元管理に成功!

栄香料 株式会社 様

導入の背景

販売/生産/在庫の一元管理で、原料切れや出荷ミスをなくしたい・・・

1945年8月に創業した栄香料様は、人々の心と生活を豊かにする「香りの文化」を創造してきました。現在では、食品・飲料品、香粧品・フレグランス等の全領域へ、安全かつ心地よい香料を提供しています。
「消費者を魅了し、行動に決定的な影響を与えるような『香力(こうりょく)』を追求して、ヒット商品やロングセラー商品を支えてきました。」と、経理総務部 部長 長康弘氏は語ります。
また、俊敏なフットワークも栄香料様の強みです。年ごと、季節ごとのモデルチェンジのために微妙な調合調整をしたり、小ロット生産にもきめ細かく対応してきました。
しかし、従来の販売管理システムは、同社の俊敏な動きを十分に支えることができませんでした。
以前のシステムは、売掛/買掛と請求書発行が目的のパッケージであり、在庫管理を連動させることができませんでした。また、扱えるマスターの数に制限があるため、調合の手順や分量を記した『処方箋』を登録できないなど、不満もたくさんあったのです。」と長氏。
2005年、製造や営業の若手社員を中心に、「販売、生産、在庫を一元管理して、原料切れや出荷ミスをなくそう」という声が上がりました。従来のシステムではカスタマイズに莫大なコストがかかるため、手直しは不可能です。
そのため、旧システムを捨てて、新しい販売管理システムを構築することになりました。

導入のポイント

「柔軟な基本機能」「カスタマイズ料金の安さ」「ベンダーのやる気」の
3つが揃っていた「楽商 メーカーLight」

栄香料様は、販売管理パッケージを中心に8製品の比較検討を行いました。
「ほとんどのパッケージが、従来システムとほぼ同じ問題点を抱えており、これでは買い替える意味がないと思いました。ただひとつ、『楽商 メーカーLight』だけが、標準機能で高い柔軟性を備えていることに加えて、導入コストは4割程度、カスタマイズ料金も4~5割程度安く、『これなら当社の求めるシステムを作り上げられる』と確信できたのです。」と長氏。
カスタマイズにこだわったのは、加工・組立系製造業とは異なり、配合を主体とするプロセス系製造業である御社の業務を一元管理するのに、市販パッケージの機能をそのままあてはめるのは無理だとわかっていたからです。
「当社は完全受注生産ですが、調合過程で生成される中間製品『ベース』の中には作り置きしておくものもあります。さらに、ベースに別の原材料を別の配合で加えれば、それぞれ別の製品ができるのですから、流れは複雑です。しかも我々は、原材料を加えるプロセスごとに原価計算をして、どの製品にも適切な価格設定ができる体制を作ることを目指しています。これらを実現するには、『柔軟な基本機能』、『カスタマイズ料金の安さ』、『ベンダーのやる気』という3つが不可欠でした。」と長氏は語ります。

「楽商 メーカーLight」は、処方箋登録、所要量計算、マスターの階層管理などの機能を標準で備えており、カスタマイズ範囲が最小限で済みます。また、数万種類の原材料もマスター登録できるため、処方箋をすべて登録できるようになります。さらに、販売、生産、在庫管理が完全に連動しているため、最終目的である「処方プロセス単位の原価計算」を実現できます。
「しかもJSTさんは、営業も、SEも、やる気に満ちていました。難しい要求をしても『それは出来ません。』とは言わず、『こうしてはどうですか?』と解決に向けた提案が必ず返ってくるところが、他社とは違うなと感じさせました。」と長氏は言います。

構成図

導入の効果

液体を配合する膨大な種類の処方箋データベース化に成功

システム構築は段階的に進めました。まず2007年3月、主軸となる販売管理システムの移行が完了。翌年の2008年、生産・研究拠点が狭山工場へと移転したため、処方の変更が発生し、データの再登録やカスタマイズを実施しました。翌2009年末、販売管理と連動した在庫管理が完成したのです。
「苦労したのは、約3,000種類の処方箋と、数万種類の原材料を登録する作業です。原材料は液体が中心。キログラム単位で調達するものもあれば、数年に一度、ミリリットル単位で処方するものもあり、単位換算だけでもひと筋縄ではできません。しかも処方箋と、原材料およびベースの在庫とを正確にリンクさせなければならないのです。」と長氏は、プロセス系製造業の販売・生産・在庫一元管理の難しさを語ります。
この困難を乗り越えた現在では、FAXで受けた注文を東京・日本橋の本社で入力すると、狭山工場でその内容をチェックし、自動計算される原材料所要量と製品納期を確認しながら、生産指示書を作成・出力します。
生産指示書を受け取った現場では、システムに登録してある処方箋を呼び出して確認しながら、原材料をそろえて調合を実施。製品が完成して生産実績を入力すると、システム内で原材料在庫が自動引き落としされます。
受注から、営業、生産、調達、出荷に至るまで、「楽商 メーカーLight」を使って一貫した業務を行っているのです。
販売・生産・在庫管理が一元化し、処方箋に沿った原材料所要量が自動計算されるようになったことで、原材料の仕入れもタイムリーに行えるようになりました。よって、生産時になって原材料切れが判明するようなことはなくなり、計画的な生産体制が確立されたのです。
工場では、納期に迫られての残業がほぼ無くなりました。台風などで配送に支障が出るかもしれないときは、前日に出荷を前倒しして、納品日を厳守しています。また、2011年は計画停電のために操業時間を確保できない日が多く生じましたが、納期管理が万全であるため、1日も遅れることなく出荷・納品できたのです。」と長氏は語ります。

在庫管理の精度は上がり、在庫総量は減少しました。在庫の適正化が進んでいるのです。また、トレーサビリティを実現できたのも大きな成果です。
「ロット単位の管理をしていますから、納品ロット番号から”どこの産地”の”どの原料”を使って作ったかを逆引きすることも簡単にできます。説明責任をきちんと果たせる体制ができました。」と長氏。
そして、生産実績を入力すると、製品ラベルと出荷伝票が自動発行される仕組みにしたことから、出荷ミスも激減しました。受注入力時点から、完成製品は”どの運送会社”を使って”どのように運ぶか”が一貫管理されているため、宅配便用の出荷伝票も正確に自動出力されるのです。

このほか、売上も日単位で把握できるようになりました。香りのサンプルを作って提案するときの見積書も、短時間で精度の高いものを作れるようになりました。サンプルの処方箋は見積段階で入力されるため、採用が決まれば、所要量計算、在庫管理とリンクしていきます。
今後、新製品がさらに増え、処方箋の種類が増えても、管理工数を増やさずに、俊敏に動ける体制が整いました。
さらに長氏は、次のように強調しました。
「導入効果は数々ありますが、何といっても、膨大な処方箋、それも、キログラムやミリリットルが混在する液体の膨大な処方箋を、一元管理できるようになったことが一番すばらしい。処方箋は、社外へ流出してはならないし、ベテランの頭の中に入っているのもダメ。データベース化してこそ、会社の財産として運用できるのです。ここまでやってくれたJSTの熱意に感謝したい。」
栄香料様では現在、最終目標である「プロセス単位の原価管理」の実現に向けて、さらなるカスタマイズが進んでいます。

栄香料 株式会社 様

代表者:代表取締役社長 鈴木 智 / 業種:製造業、化学工業
事業内容:品用調合香料、食品添加物、香粧品用調合香料、その他産業用香料、
     化粧品・トイレタリー用原料の製造・販売、医薬品販売業
URL:http://www.sakaearomatic.co.jp/

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