金属対応RFIDタグで、高精度なレンタル管理/在庫管理を実現。
レンタル品の「滅失 」も激減して利益率2割向上!

堀内常務と齊藤テクノセンター長

導入の背景

返却・未返却を正確に把握し、「滅失」を減らしたい

東京都中央区に本社を置く株式会社ホリウチ(以下、ホリウチ)は、建設・製鐵・造船業界向けワイヤロープの専門商社として、創業から60年以上にわたる地歩を築いてきました。
1990年代に入ると、機材・工具を自前で所有せず、その現場で必要なものを必要な期間だけレンタルで利用する企業が増えてきたことから、ホリウチもレンタル事業を開始しました。1994年には、千葉県木更津市にテクノセンターを構え、レンタル事業およびレンタル商品の点検・整備作業の拠点としています。
「ワイヤロープは消耗品なのでレンタル対象品ではありませんが、レバーブロック、チェーンブロック、電動ウインチ、ジャッキ、クランプなど、建設・橋梁工事等の現場で必要となる多様な機材を用意し、20年以上にわたって幅広いニーズに応えてきました」と、常務取締役の堀内正人氏は紹介します。

常務取締役 堀内正人 氏

常務取締役 堀内正人 氏

ホリウチは、返却された機材は必ず点検・整備を行い、整備が完了したものだけをレンタルするという社内ルールを確立してきました。製品の中まで開けて点検し、注油したり、部品をメーカーから取り寄せて付け替えたりします。

「わたしたちは生命にかかわる機材を扱っているのだという緊張感を常に持っています。機材メーカーが行う研修も受講して、若手社員全員が技術者認定を取得済み。信頼と安心が当社の機材レンタル事業の特徴なのです」と、テクノセンター長の齊藤昌幸氏は強調します。

一方で、レンタル機材の管理には苦労してきました。
機材は巨大な鉄柵製ケージにまとめて入った状態で返却されます。重量のある多種類の機材がランダムに積み重なっており、その場で個数を数えたり検品することは不可能です。持ち帰ってからカウントすると、個数が足りないことはしばしばあります。なぜか、返却個数が多いこともあります。なくなってしまったと思っていたら、実は他の現場で流用されていて、それが一緒に返却されたため、個数が多いのです。
『滅失』はそのまま当社の資産損失であり、新規に機材を購入しなければなりません。貸出現場ごとの返却・未返却を正確に把握して、滅失を減らしたいというのが長年にわたる課題でした」と齊藤氏。

テクノセンター長 齊藤昌幸 氏

テクノセンター長 齊藤昌幸 氏

しかし、検品の現場で手書きメモした数値を、事務所のパソコンで表計算ソフトに手入力して台帳管理をする体制では、未返却状況をタイムリーかつ正確に把握することは困難でした。
なにしろホリウチは、レバーブロックだけでも万単位の個数を保有し、レンタルしているのです。

レバーブロック

導入のポイント

RFIDタグを利用して個品識別管理とトレーサビリティを確立

2010年、代表取締役社長の堀内榮一氏は、JSTからのダイレクトメールを契機として、レンタル・リース業界向け販売・在庫管理システム「楽商 Myレンタル」の検討を始めました。

汎用的な販売管理ではなく『レンタル管理』を目的にしたシステム化ができる、在庫管理の機能が充実している、バーコードとハンディターミナルを使ったシステム構築にも実績がある、これは、当社が欲しいと思っていた解決策なのではないかと思ったわけです」と堀内常務。これまで検討してきたシステムは、汎用的な販売管理ならできるがレンタル管理の機能が弱いので在庫がうまく管理できない、あるいは、レンタル管理・在庫管理はできるがバーコード等を使うには追加開発が必要で大変にコストがかかるなど、同社の要求をすべて満たすものではなかったのです。

「JSTのプレゼンテーションはすばらしかった。RFIDタグを使って、商品1個ずつを管理・追跡できる体制づくりを提案してくれました」と堀内常務は振り返ります。
レンタル業界での滅失を減らすには、総数(グロス)での個数管理だけでなく、個品を識別して追跡ができるようにする「トレーサビリティの確立」が重要だということは、堀内常務も認識していました。
しかし、建設現場・工事現場は、衝撃、天候、砂ぼこり、油、場合によっては薬品など、過酷な使用環境にさらされています。機材に貼られている商品バーコードやQRコードは、すぐにはがれたり、汚れて読めなくなったりしていました。
そこで注目したのが、防水や耐圧に優れたRFIDタグです。
RFIDタグで、機材1つずつにシリアル番号をつけて個品識別管理をすれば、返却・未返却を正確に、しかもすばやく把握できます。顧客に対して「何番と何番をお貸ししましたが、何番が返ってきていません」と言えば、説得力が高く、再度探してもらうこともできるでしょう。「『楽商 Myレンタル』は、わたしたちのやりたいことを網羅できる初めてのパッケージ製品でした」と堀内常務は評価します。

テクノセンターでの作業風景

テクノセンターでの作業風景

レンタル管理をシステム化できれば、在庫管理も正確になります。
さらに、「その商品はいくらで何回貸して何回修理したのか」という損益管理ができますし、商品アイテムごとの分析もできます。最終的には、レンタル事業全体の利益管理を厳密に行い、収益性を高めることも可能になります。

RFIDタグの良さは、堅牢性だけではありません。
読み込みしかできないバーコード・QRコードとは異なり、RFIDタグは読み込み・書き込みの両方が可能です。したがって、どの現場に貸し出すのかをそのつど書き込み、返却の際はタグを読むだけで、たとえ他の現場からの返却分でも正式にはどこの現場からの引き上げ品なのか、ミスなく判断が行えるのです。

金属対応RFIDタグの選定と機材への装着には試行錯誤

しかし、RFIDタグの選定には時間がかかりました。
機材はほぼすべて金属製です。一般的なRFIDタグを貼りつけると、ハンディターミナルから放射される電波が金属で反射して妨害波となり、RFIDタグの応答波を検知できません。
そこで、「金属対応」の機能を備えた大きさ1cm程度の小型RFIDタグを探し、しかも、耐衝撃、耐天候、耐熱性を備えた製品を探して比較選定しました。無線ハンディターミナルも、RFIDタグと電波相性の良いものを組み合わせました。

機材にRFIDタグを装着する場所や貼り方も試行錯誤が必要でした。たとえば、部品のすき間にタグを埋め込んだ機材もあります。また、機材によっては、タグを貼り付けると機能が損なわれる心配がありますから、機材メーカーにも問い合わせながら作業を進めました。
「RFIDタグを1つ1つ貼付していくのもとても手間のかかる、大変な作業でした」と齊藤氏。機材表面につけると、取れたり、割れたり、作業の邪魔になったりします。最初は、一度貸しただけで10個のうち2~3個が落ちて返ってきました。
「同業他社のやり方を調べたり、RFIDタグのメーカーに相談した結果、接着剤で塗り固める方法に行き着きました。固めた接着剤は、衝撃を和らげるクッションの役割も果たしてくれます」と齊藤氏。
現在は、タグと一緒に補強材を入れて塗り固めるなどの方法が定着したため、破損はほとんど発生していません。

導入の効果

個品識別管理の実現で、滅失分の顧客請求も可能に

2011年9月、RFIDタグ1万個を用いたレンタル管理システムが本稼働を開始しました。
RFIDタグの取り扱い方が定着すると、新システムは大きな効果をあげるようになり、2015年には、RFIDタグを5000個追加しました。現在は、合計1万5000個の機材を個品識別しています。

返却・未返却を個品レベルで把握できるようになった効果は大きい。把握した情報を使って再返却依頼をしたり、他現場への移動を確認したり、さらには、滅失を明示して請求できるようになりました。『滅失イコール 当社の損失』だった時と比べて、収益を2割程度増大できたと考えています」と堀内常務は語ります。
必ず点検・整備のできた商品だけを貸し出すという社内ルールを徹底するうえでもシステムは役立っています。整備完了品は、無線ハンディターミナルを使って整備完了と倉庫移動をRFIDタグへ書き込んで初めて、貸出可能となります。整備完了の書き込みをしていない機材を出荷しようとすると、無線ハンディターミナルでスキャンした時点で警告音が鳴り、エラー表示が出て出荷処理ができません。
使用開始日と耐用年数、修理内容、修理回数なども、機材1台ごとに漏れなく管理できるようになりました。

個品識別管理によって、高精度な在庫管理も実現できました
しかも、レンタル管理、在庫管理のデータは、ネットワークを介して木更津のテクノセンター内はもとより、各支店・営業所でもリアルタイムに共有しています。
「表計算ソフトと違って、担当者がいなくても、どこの現場へどの機材をいくつ、いつまで貸し出す予定か、倉庫に在庫はいくつあり、検査中のものがいくつあるかなど、誰でもすぐに把握できます。お客様から『この機材を20個追加したい』と言われたら画面を見るだけで、『今の在庫は15個ですが、来週火曜に5個追加できます』と、電話がかかってきたその場で返事ができます。機材のステイタス管理と在庫管理がワンシステムで一貫していますから、自信を持って正確な回答をすることができるのです」と齊藤氏は言います。

テクノセンターを案内して下さった両氏

テクノセンターを案内して下さった両氏

倉庫作業の流れとシステム構築効果

「貸出ー返却ー請求」をワンシステムで、一連の作業として処理できることは、社員の業務効率向上にも貢献しています。
しかも、ホリウチのレンタル管理・在庫管理システムは、業務処理に自由度を持たせた、柔軟性あるシステムになっています。
「たとえば、ある現場に貸した機材の一部を未返却として処理した後で、別の現場からその機材が戻ってきた場合には手処理で修正できるようにしたり、『部分返却でレンタル継続』という処理ができるようにしています」と齊藤氏。また、個品管理商品とグロス(総数)管理商品が混在してもスムーズに運用できます。「楽商 Myレンタル」にきめ細かくカスタマイズを加えることで、業界の商習慣や顧客の個別状況を大切にしつつ、レンタル業務全体をカバーできるシステムを作り上げることができました。

今後は、点検・整備のステイタス管理をより細分化したり、壊れた機材の写真を撮り、業務の流れに組み込んで活用していくなど、システム化の範囲を広げたいと考えています。
「機材・工具類は日進月歩で進化しています。レンタル事業としては、新商品を積極的に取り入れて、お客様の要望に応えていきたい。現在のシステムなら、アイテム数が増えて管理工数が煩雑になっても、十分に対応していけるでしょう」と堀内常務は意欲的に語りました。

株式会社ホリウチ 様

代表者:代表取締役社長 堀内 榮一 / 業種:土木・建設用機材土木建設資材 の販売・レンタル
事業内容:ワイヤロープの専門商社。建設・製鐵・造船業界へ、ワイヤロープ、ダンネージ、スリング、その他の機材・工具類を販売およびレンタル
URL:http://www.horiuchi-web.co.jp

株式会社ホリウチ 様

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