導入4か月で成果を出した!
化粧品業界ならではの複雑な仕掛品在庫をスムーズに管理

抱えていた課題

事業立ち上げと同時に、すぐ使える基幹システムが必要だった

スタートアップ企業である株式会社三尚工業(以下、三尚工業)は、会社登記が完了していないうちから、基幹システムをどうするか詳細検討しておき、本社ビルが決まり次第、IT環境を整え、基幹システムを導入して、1日でも早く業務を開始したいという立場でした。
そのため、基幹システムは、標準機能が充実したパッケージ製品をベースに構築して、すぐに本格的な業務に使い始められることを重視しました

結果的に、導入はスムーズでした。 2018年4月に会社設立した三尚工業は、翌5月に「楽商」の導入を決定。システムが納品されたのは6月です。 マスター登録をはじめとする事前準備、システムの理解、日々の入力業務の3つを同時に、急ピッチで進めました。
「9月1日に新年度をスタートしたい」という強い思いがあったため、8月末に初年度決算を敢行。システム納品からわずか2カ月で本決算を行うことができました

業界特有の複雑な在庫管理に対応できるか

「化粧品容器部品製造の業界は、特化した技術を持つ業者が細かく分業し、密接に協業する業界です」と芦澤社長は説明します。
三尚工業自体はファブレスであり、金皿のプレス、表面処理を中心とする生産工程は、約20社ある協力会社が担っています。そして三尚工業は、設計から納品までを一元管理することで、高度な品質・納期・単価・サービスレベルを確保して、納品先から信頼を得ることを目指しています。
そのため、協力会社における仕掛在庫品の動きまでほぼリアルタイムに可視化して、全体を一元管理できることが、基幹システムに求める重要な要件でした。

代表取締役 芦澤尚人氏

生産工程と納品工程の2つの「1対n」をシステム管理できるか

さらに重視したのは、生産工程と納品工程での2つの「1対n」をシステムで管理できるようにすることです。

「生産工程の『1対n』とは、工程が進めば、製品は形状が変わり、構成部品も変わります。さまざまな側面で、基本があって転用があるのです。この『1対n』の動きを完全に管理しないと、製造業の在庫管理はできません」と、取締役経理部長 総務部統括の田本順子氏(以下、田本氏)。

取締役経理部長 総務部統括 田本順子氏

「1つの製品を作るのに部品が5つ必要であれば、バラバラ段階、組み立て途中、完成品も検査前/検査後と分けて、工程ごとの部品数の変化をほぼリアルタイムに把握する必要があります」と、生産管理部の蛭田由美氏(以下、蛭田氏)は、構成管理・部品管理のむずかしさを語ります。
基幹システム構築でこだわったのは、生産工程における「1対n」の変化をシステム化することで、人間の判断や人手による調整作業に頼らずに、複雑な在庫管理・発注管理・引き当てを少ない工数で正確にできるかということでした。

生産管理部 蛭田由美氏

もうひとつ、納品工程でも「1対n」が発生します。
「同一の製品であっても、納品先に応じて、製品名・単価・商品コードなどを変えなければなりません。納品先は約50社ありますから、これだけでも1製品が50通りに変化するわけです」と総務部の北原加代氏(以下、北原氏)は、納品における「1対n」の配慮もシステム化が重要であると説明してくれました。

総務部 北原加代氏

選定理由

「理想イメージ」に近いシステムを、低コストで実現できるパッケージであったこと

田本氏をはじめとするベテラン陣は、会社設立を申請するよりも前から、基幹業務を支えるパッケージシステム探しに奔走しました。
Webで探し、パンフレットを取り寄せ、3~4製品に絞り込み、複数ベンダーを訪問して回って話を聞きました。

前の会社では、30年以上かけて磨きをかけたカスタムメイドのシステムを使っていましたから、『生産管理』『販売管理』というと私たちの中には明確なイメージがあります。そのイメージにできるだけ近いシステムを、私たちの限られた予算内で手に入れたいと知恵を絞りました」と田本氏。

最終的に、ベテラン陣が持っていたイメージに一番近いシステムを、他社に比べて費用を抑えて実現できると判断したのが、JSTの「楽商」だったのです。

使い始めた後に、より複雑な管理への進化が可能であったこと

システム選定でこだわったのは、生産工程における変化や複雑な「1対n」の関係まで一元管理して、在庫管理・発注管理・引き当てを少ない工数で正確にできるかということでした。

「JSTには2回訪問しましたが、『1対n』にこだわる意味をきちんと理解してくれたうえで、どうやってそれを実現していくか、ていねいに説明してくれました。どういう機能をどのように組み合わせて使えばいいか、あるいはどういうカスタマイズをすればいいかなど具体的に聞いているうちに、『「楽商」なら私たちの求める在庫管理ができそうだ』という思いを深くしたのです」と田本氏 。

在庫管理の複雑さを理解し、相談に乗り、一緒に考えてくれたこと

「パッケージ製品は、できる機能が多いだけではダメなのです。豊富な機能を持つシステムは価格が高いうえに、多くの機能を使いこなすために入力項目が増えて作業時間がかかります」と蛭田氏。
管理精度をどこまで深めるかという問題と、少人数で日々の業務を回し続けられるかという問題の両方のバランスを見極めなければなりません。
JSTはそういう悩みまで理解したうえで、わたしたちの相談をきちんと聞き、解決策を一緒に検討して、要望に沿ったシステム構築をしてくれました 」と蛭田氏は語ります。

導入効果

倉庫管理の機能を活用して、複雑な仕掛品在庫管理ができている

複雑な在庫管理には、「楽商」の標準機能である倉庫管理をフル活用しました。

「登録できる倉庫の数が999カ所と、ほとんど無制限に近いのです。当社のリアル倉庫のほか、協力会社約20社もすべて別の倉庫として登録しています。納品先から支給される部品も「支給品倉庫」を設定して管理します。未検査品/検査品もバーチャル倉庫を別にして管理します」と蛭田氏。
その結果、部品単独/半製品/製品、未検査品/検査品などの工程の進捗を、「倉庫間の移動」として正確に把握できるようになりました。
製品の仕入処理をすると、部品在庫が連動して変わり、部品単独/半製品/製品それぞれの数の変化を把握できます。複雑な動きをする「1 対 n」の在庫管理が実現できました

この在庫管理の流れを支えているのは、「楽商」の構成管理の機能です。
「セットものをマスター登録する構成管理は、在庫管理の『命綱』です」と蛭田氏は言います。

カスタマイズを段階的に追加して、人手での作業を減らすことができた

三尚工業では、できるだけ標準機能のままで、「楽商」を使い始めました。しかし1~2年経つと売上が上がり、製品バリエーションが増えて、手作業での対応が増えてきました。そこで、業務効率を高めるためのカスタマイズを、この6年間で2回行いました。

納品先が異なるため商品名や商品コードが異なるが、実際は同一製品であるものの売上処理にもカスタマイズを加えました。
「納品先が異なる同一製品は、売上処理をした後、部品の動きは人間が手作業で引き当てをして合わせていました。しかし、手作業では業務処理が追いつかなくなってきたため、JSTに相談したところ、商品登録画面をカスタマイズ してくれました。その結果、それぞれ別コードで売上処理をしただけで、部品が正確に引き当てされるようになったのです」と蛭田氏。

このカスタマイズにより、「1対n」の売上処理と、部品の在庫管理が連携され、「何を何個発注すれば良いか」までほぼリアルタイムに把握できるようになりました
カスタマイズを段階的に追加することで、「1対n管理」の完成度を高め、業務効率も高めることができたのです。

納入先ごとに異なる指定伝票の発行もスムーズに

帳票類は、「楽商」導入時に、多数開発しました。
「納入先ごとに異なる指定伝票を出さなければならないため、印刷項目を個別に設定したり、帳票レイアウトを試行錯誤したりして、最初は大変でした。細かな問題は、『備考欄』を柔軟に使うことで、かなり乗り越えられました」と、北原氏は当時を振り返ります。

現在は、通常の売上処理をするだけで、納入先ごとの指定伝票が出力できるようになりました

JSTサポートは満足度100%、消費税やインボイス対応も手間いらず

三尚工業では、「楽商」に加えて、パソコン、プリンタなどのハードウェアまで、JSTのワンストップ・サポートを利用しています
「操作がうまくいかないときは、なぜなのかとか考えたりせずに、とにかくJSTへ電話1本かければ解決するのでとても助かっています」と蛭田氏。
「見ていると、リモートでカーソルがあちこち動いているうちに問題が解決することもありますし、ハードウェアについても点検に来てくれることもあります。どちらにしてもすばやく確実で、サポートは『満足度100%』です」と田本氏 はにこやかに語ります。

今後の展望

製品画像やCADデータもマスター登録して情報共有へ

「システムはまだ発展途上。まずは日々の業務が回っていますが、やりたいことはたくさんあります」と田本氏。
「今は望む姿の2~3割までやっと来たところ。大事な基礎部分はできたので、これから、次の7~8割を展開していきます」と蛭田氏も意欲的です。

まずは、製品マスターに製品画像やCADデータも登録して、協力会社や納品先と情報共有することを考えています」と北原氏。
たとえば「同じキャップだが貼り付ける装飾石の色だけが異なる」といった場合、写真やCAD図面を発注書や見積書などへ添付しておけば、ミスや思い違いを防止することができます。
また、製品とそれを構成する部品は構成管理でしっかり登録・管理していますが、「子品目(部品)のほうから親品目(製品)を逆引きする機能にもっと工夫が必要」と蛭田氏は指摘します。製品の種類が増え、子品目も増えて関係が複雑になるなか、発注、引き当てを正確に行うために、子品目(部品)のほうから製品を検索する必要性に迫られているのです。 「子品目からの逆引きができるようにして、在庫と同時に、出荷や生産の予定も見えるようにしたい」と蛭田氏は語ります。

トレーサビリティ強化のニーズも業界全体で高まっています。
「子品目管理の次に見えてくるのはロット管理です。いつどこから仕入れてどこに納品したか、子品目すべてについてトレースできる体制を作りたい」と蛭田氏。
「私たちのように小さな会社であっても、『できることから実現していく』という気持ちをしっかり持ち続けるべきだと思っています。諦めたらそこでゲームオーバーですから」と田本氏は思いを語ります。

コロナ禍を脱して三尚工業のビジネスは好調に拡大中です。2023年度は前年比1.7倍の売上を見込み、2024年度も「倍々」の躍進を目指しています。
「会社としては、売上を上げたい。顧客も増やしたい。でもそれをやるには現状システムの進化が不可欠です。まずは在庫引き当てのシステム化を進化させたい」と田本氏。
JSTにはさらなる支援、サポート、提案が期待されています。

お客様のご紹介

東京・大田区に本社を置く株式会社三尚工業は、化粧品を入れる金皿やアルミ缶など「化粧品容器部品」の製造会社です。
設立は2018年4月。代表取締役社長の芦澤尚人氏は、同業種の大手企業で約50年 勤めた後に独立しました。約10名の社員も、前の会社から芦澤社長を慕ってついてきたベテラン陣が中心です。したがって、新会社スタート時から、「業界に精通したプロフェッショナル集団」という強みを発揮してきました。

同社の最近のテーマは、「環境負荷低減」です。プラスチックに代えて紙素材を活用するなど、時代のニーズに応える新しい化粧品容器創造に向けて、協力会社と力を合わせて研究開発に取り組んでいます。

品質を確保するため、検品は社内で徹底して行う。
「検品室は、うちの会社の心臓部です」と田本氏。

バーコードを利用した工程管理を実現している事例はこちら

株式会社三尚工業 様

代表者:代表取締役 芦澤尚人 / 業種:化粧品容器部品製造業
事業内容:化粧品メイクアップアルミ皿、化粧品アルミ缶ケース、化粧品容器CAP、その他付属品の開発・製造・販売
URL:http://sanshokogyo.co.jp/

  • どのサービスが一番適している?
  • 課題がまだまとまっていない。
  • こういう事例はある?
  • 見積もりだけでもいい?
0120-86-6181 資料請求・デモ・製品問い合わせ専用 平日9:00~18:00(祝日除く)