導入の背景

取締役 岩﨑裕美氏
株式会社亀の子束子西尾商店は、1907年の創業以来、120年近くにわたって「たわし」を製造販売してきました。
「創業時から製造方法を変えることなく、熟練職人の手作りと品質への徹底的なこだわりで、100年間事業を続けてきました。『ハンドメイド・サバイバル』です」とにこやかに語るのは、創業・西尾家の五代目の代表取締役社長である西尾智浩氏(以下、「西尾社長」)です。
「長年利用してきたシステムでは在庫数が現物と合わず、棚卸のたびに修正が必要になるなど、在庫管理の精度に課題を抱えていました」と、取締役の岩﨑裕美氏(以下、「岩崎氏」)は語ります。
「特に11〜12月の繁忙期は『お掃除需要』によって通常の3倍の注文が集中します。このピーク期に欠品を出すと、約400社のお客様(販売店・卸問屋など)に多大な迷惑をかけてしまうため、欠品を防ぐことができて、信頼のできる在庫管理システムが必要でした」と業務部部長の百瀬裕則氏。(以下、「百瀬氏」) 旧システムのサポート終了を機に、「適正在庫を維持できる販売管理システム」を求めて新たなシステム導入を検討しました。
選定理由

業務部部長 百瀬裕則氏
複数のベンダーを比較検討した結果、選ばれたのが販売・在庫管理システム「楽商」です。決め手は、「少ない手数で在庫管理ができる使いやすさ」と、「優れたコストパフォーマンス」の2点でした。
「やりたいことが無理なく実現でき、在庫の動きを入力の流れで確認できる点が魅力でした」と百瀬氏。
さらに、業務効率を高めるためのカスタマイズの自由度が高いことも、選定の大きな理由になりました。
課題の解決
正確な在庫管理を実現
本社・滝野川工場と和歌山工場の在庫を管理し引き当てできる仕組みを構築したことで、複数拠点の在庫状況をリアルタイムに把握できるようになりました。
今では、適正在庫数と発注点の設定を活用することで、経験者のカンに頼らない発注も実現できています。
輸入諸掛を加味した原価計算で、より正確な利益を算出
亀の子束子の主な材料は、パーム(ココヤシの実の繊維)であり、95%をスリランカから輸入しています。輸入する時には、商品代金以外に、関税、送料、通関手数料などの費用が発生しますが、これらを製品の数量、重量、容積などの基準に応じて按分し、仕入原価に加算します。
「以前は、月1~2回の輸入のたびに、表計算ソフトで計算していました。
手間と時間がかかるうえに、正確さが要求されるので、プレッシャーのかかる作業です」と百瀬氏。
現在では、その時点での為替レートさえ入力すれば、正確な按分が自動的に行われます。
他システムとのデータ連携による手入力の解消
ECは、Amazon出店と自社サイトの両方で行っており、売上データはどちらも1日1回「楽商」に取り込んでいます。
また、会計システムに対しては仕訳データを「楽商」から出力して取り込めるようにしています。
こうした他システムとのデータ連携は、現在はCSVデータでの受け渡しですが、ECサイトでの販売はこれから伸びていくと予想されるだけに、リアルタイムなデータ連携や、サイト上での行動の記録も検討しています。
「ECサイトに来たお客様の動きを分析して、さらなる売上増大策も戦略的に考えていきたい」とは意欲的です。
導入効果
在庫精度が飛躍的に向上し、欠品リスクが大幅に削減
「移行には半年かけましたが、画面遷移などがわかりやすいこともあり、現場の混乱はなく、スムーズでした」と百瀬氏は振り返ります。
さらに百瀬氏は、「当社の事業規模に合ったシステムができたこと」を効果として挙げます。
販売するたわしは、「茶色」「白色」「パームではなく棕櫚(シュロ)を材料とするもの」と、基本的に3種類ですが、キッチン・バス・リビング商品、ボディケア商品などを展開しているため、約1,000アイテムが登録されています。
本社と工場でリアルタイムに情報共有ができるため、多岐にわたる管理項目を、限られた人数と少ない工数で管理できる仕組みを確立できました。(百瀬氏)
数々の成果を踏まえて、
「信頼できる基幹システムを低コストで構築できたのが最大の効果。こういう基幹システムがあれば、今後さまざまな活用を広げていくことが可能です」
さらに百瀬氏は、「『楽商』に決めたところ、まず大喜びしたのが経理部長でした。以前のシステムは、年間保守料だけで何倍もかかっていたからです」と語ります。
「システムの完成度が高いうえに、オンラインサポートによる対応も充実しています。『不具合のために今日はシステムが使えません』という事態が、ただの一度も起きていません」「楽商は、中小企業向けのシステムとして、きめ細かい対応がしっかりできています。またJSTは、動きが速いし、意思決定も速いですね」と付け加えました。
今後の展望
データ分析を利用しながら、たわしの新しいニーズを開拓したい

代表取締役社長 西尾智浩氏
「カメがゆっくり確実に前進していくように、当社は、止まることなく前進していきます。受け継いできた伝統の技を大切にしながらも、時代に合う新しいものを積極的に作っていこうと考えています」と西尾社長は今後に向けた思いを語ります。
「ライフスタイルがどんどん変わっていくなかで、新しい層に訴え、新しいニーズを開拓したい。アイデアはいろいろあるのです。売り方、見せ方も、工夫しなければなりません」と西尾社長。
新しいニーズを開拓するにも、工夫するにも、行動や判断の基礎になるデータが不可欠です。
「JSTには、『在庫管理のさらなる可視化』を手伝っていただきたい。『価格をこう設定したら、どこにどういう効果が出たのか』など、試した施策の効果をすばやく分析できる環境づくりも必要です。新しいニーズを開拓するために、いろいろな視点からのシステム利用やデータ活用を提案してほしい」と、西尾社長は熱を込めて語りました。
お客様のご紹介
1907年(明治40)、西尾正左衛門が「亀の子束子」を発明して、「西尾正左衛門商店」を創業しました。1915年(大正4)には、「束子」の特許を取得しています。特許の有効期間は終了しましたが、「亀の子束子」、「亀のマーク」は現在も登録商標です。
現在の株式会社亀の子束子西尾商店は、本社を東京都北区に置き、亀の子束子を中心に、1,000アイテムにのぼる生活用品を製造・販売しています。
仕入先は、材料の95%を輸入するスリランカのほか、資材・部材を調達する国内約100社です。販売先は、全国の日用品雑貨卸問屋約400余社で、アメリカ・カナダ・オーストラリア・ヨーロッパ・東南アジア等への輸出も含みます。従業員はパートを含めて42名。
株式会社亀の子束子西尾商店
代表者:代表取締役社長 西尾智浩 / 業種:日用品製造業
事業内容:亀の子束子を中心に、キッチン・バス・リビング商品、ボディケア商品など、各種生活用品を製造・販売
URL:https://www.kamenoko-tawashi.co.jp/
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