導入の背景

自動車産業の盛んな群馬県太田市を基盤に、地場の工場向けに工具や消耗品などの生産財を販売しているサカモト機材様(以下、「サカモト機材」)は、自動車部品メーカーを親会社に持ち、資材供給部門としての役割と外部顧客への商材販売の両軸で事業を展開しています。
溶接に関する消耗品・設備機器をはじめ、工具、梱包資材、鋼材、文房具まで、工場で使用する幅広い商材を取り扱っています。
親会社の生産に合わせた適切な資材供給、外部顧客からの多様な注文に確実に対応するためには、
正確な在庫管理と複雑になりがちな受発注業務の効率化が欠かせない状況にありましたが、従来使用していたパッケージシステムは業務フローと合わず、「伝票の二重入力と訂正処理が頻発」「案件情報の分断」「倉庫との情報連携が弱い」といった課題がありました。
従来システムのカスタマイズも検討しましたが、サポート終了のタイミングで自社業務に合う販売管理システムへの刷新を検討し始めました。
導入の決め手

サカモト機材では、大型設備の販売やダクト工事・配管工事など、1年以上に及ぶ長期案件もあり、見積から納品までの流れを1つの「案件」として一元管理する必要がありました。
従来使用していたシステムは商社としての機能は問題なかったのですが、案件管理機能が不足しており、見積、受注、発注、仕入、売上といった情報を紐付けて管理することができない点が大きな課題でした。
「楽商」資材BASEは、
- 見積〜売上までを管理番号で一元管理
- 親会社からの注文データの取り込み
- 二重入力や訂正作業を減らせる運用
が実現できることから、当社の業務フローに最も適合すると判断し採用に至りました。
導入の効果
二重入力を解消し、伝票処理時間を大幅削減

「楽商」資材BASEでは、過去の見積・受注・売上のいずれからも明細単位で切り出してコピーでき、不要な明細削除や打ち直し作業が不要になりました。
結果、見積作成から売上までの作業の効率化ができ、事務作業にかかる時間を大幅に短縮できました。
また、複数の受注に分かれた明細をまとめて1枚の売上伝票として計上できるため、以前のように受注伝票を削除して作り直す作業も不要になりました。
管理番号で案件進捗を可視化。発注漏れ・計上漏れを防止
見積から売上までを「管理番号」で紐付けることができることで、
- 仕入先や業者への発注が行われているか
- 入荷予定日がいつなのか
- 入荷済みかどうか
などの進捗が一覧で視覚的に確認できるようになり、発注漏れや仕入計上漏れの防止に大きく貢献しています。
倉庫業務の属人化を解消。入出荷フローを標準化
サカモト機材の注文の約7割は取り寄せ品で、そのうち半分近くは一度限りの注文です。
従来は倉庫がアナログで作業を行っていたため、「どこから届き・どこへ納めるのか」が伝票入力担当者しか把握しておらず、業務が属人化していました。
そこで、入荷・出荷を一目で確認できる入出荷指示書をカスタマイズで作成し、「いつ」「どこから届き」「どの得意先へ出荷するか」を1枚で表現できるようにしたことで、倉庫と業務の分業化を実現してフローが大きく改善されました。
検討にあたっては、受発注から納品までのプロセスを洗い出しました。プロセスの受け渡しの度に、都度検品作業を行っていることが分かり、モノの流れを軸に検品回数を減らすことができないかと考えました。
入出荷指示書とモノが常に一緒になってプロセスを進むことで、入荷から出荷までのフローの改善ができました。
「入出荷指示書」をタブレットへ移行し、倉庫のデジタル化を実現

「入出荷指示書」で業務改善はできたのですが、紙での運用はどうなのかということもあり、デジタル化を検討しました。帳票ベースで運用を重ねてきたことで、色々な要望やアイデアが蓄積されていましたので、再度、業務プロセスの見直しを行った後にタブレット端末での運用に移行しました。
端末上で管理番号を検索するだけで、「入荷チェック」「出荷チェック」「最終検品」といった作業をで行えるようになり、ペーパーレスにもなりました。
さらに、検品完了後にシステムから封緘シールを発行できるようにして、出荷するコンテナに封をする仕組みにしました。
お客様は当社の納品物であることの識別性が向上し、紛失を防ぐことにも貢献できています。
以前は入荷のたびに毎回検品を行っていましたが、出荷する商品がすべて揃ったら最後に検品を行うように社内フローも見直すことで、検品作業を1回に集約することができました。
営業向けに出荷状況を可視化。大型モニタでスケジュール管理を効率化

営業担当者が出荷スケジュールを立てられる専用画面を構築し、検品完了状況が案件ごとに色分け表示される仕組みを導入しました。
大型モニタにもその状況を映し出せるようにして、「納品スケジュールを立てる案件がどれなのか」
「どの得意先の納品量が多いか」を、営業が直感的に把握できるようにしました。
さらに案件をドラッグ&ドロップするだけで配送調整が可能となり、営業間の納品スケジュールの調整工数削減にも貢献しています。
今後の展望
今後は、「楽商」資材BASEと連動した顧客管理や仕入先管理を進め、情報の属人化を防ぎながら、社内で共有・活用できる仕組みを整えていきたいと
考えています。
また、将来的には地域の製造業のお客様に対する調達購買代行の役割を広げ、Webでの見積や受発注の仕組みづくりにも挑戦していく構想です。
さらに、AIの活用なども視野に入れ、誰でも早期に戦力化できる販売管理の環境を目指していきます。
導入を検討中の方へ
まずは自社の業務プロセスを見直すことをおすすめします。
弊社はお客様の要望に寄り添えるように業務を行っているため、それを逆手にとって、カスタマイズを行うことで自社の強みにしました。
業務がシンプルで件数が多くない場合は、パッケージに合わせる選択肢もあります。
自社の販売戦略を整理し、どこに価値を置くのかを明確にしたうえで、システム化を検討すると良いと思います。

