導入の背景

本事例は、約20年にわたり「楽商」メディカルを運用し続け、現場の変化に合わせて業務と働き方を改善してきた長期運用の事例のご紹介になります。
医療機器・医療材料の総合商社である佐々木器材株式会社(以下、「佐々木器材」)が、「楽商」メディカルを導入したのは薬事法(現:薬機法)改正を目前に控えた2004年。医療機器においてもロットや期限の管理、そしてトレーサビリティの確保が必須となるタイミングでした。
当時は改正薬事法にどのように対応したら良いのか、業界全体が手探りの状況の中、「楽商」メディカルを選択した佐々木器材はそこから、“システムを導入したら終わり”ではなく、“現場の課題に合わせて少しずつ改善していく”道を選びました。
業務の課題
アナログ中心の業務が、現場の負担になっていた

品質管理 経理 次長 鈴木広世氏
佐々木器材では、ロット管理や期限管理が必要な商品を多く取り扱っており、以前は紙での運用や手作業による管理が中心で、棚卸や検品には多くの時間と手間がかかっていました。事務処理も属人化し、「人が頑張って回す業務」が続いていたといいます。
- 棚卸や入出荷検品に時間がかかり、ミスの不安が大きかった
- 受発注や請求といった事務業務に、紙中心の運用が残っていた
- オンプレミス運用により、社内にいないとシステムを使えない制約があった
これらの課題を段階的に解消し、時代や環境に合わせたシステム運用を実現してきました。
導入の効果
ハンディターミナルの導入で、倉庫業務を“特別な作業”から日常業務へ

最初の大きな転機となったのが、人の目と手に頼っていた倉庫業務でした。
「入出荷は伝票ありきで、どうしても見落としや数え間違いは発生していました」と語るのは、品質管理/経理 次長 鈴木広世氏(以下、「鈴木氏」)です。
特に棚卸は、全社員が休日に出勤して対応するほどの大仕事でした。
「棚卸の時期になると、正直みんな憂うつでした。倉庫だけではなく、病院に貸し出している在庫も確認が必要です。病院は訪問時間が限られており、指定された日時に行かないといけないのです」(鈴木氏)
ハンディターミナルでの運用が軌道に乗ると、現場の風景は大きく変わりました。
「もし違う商品を読み取れば、その場でエラーが出るため、間違いは即座に発見されます。商品知識がなくても、読めなければ違うと分かります。これは本当に大きかったですね」
鈴木氏は“気づける”便利さに驚いたと言います。
結果として、誤入荷や誤出荷の防止を実現しました。棚卸作業はさらに劇的に負担が軽減。ハンディで実棚を読み取ったデータをシステムに取り込むことで、システム在庫との差異が可視化されるように。
「かつて社員総出で休日対応していた棚卸ですが、今では、3、4人で普通に業務を回しながら、2、3時間で終わります。昔の棚卸を知っている人間からすると、別の作業みたいな感覚ですね」(鈴木氏)
棚卸が「特別なイベント」ではなく「日常業務」になったことで、現場の心理的な負担も軽くなりました。こうした改善を重ねながら、同社では「楽商」メディカルを長期にわたり使い続けてきました。
外部サービスとの連携で紙の運用や手作業を削減し、事務効率を改善
倉庫業務の改善に続き、事務業務についても、外部サービスとの連携により、紙や手作業中心の運用を見直しました。
- FAX送信ソフトとの連携で、システムから直接FAX送信ができるようになった
- 請求書の電子化により、印刷・封入・郵送の作業が大幅に削減できた
- ファクタリングとの連携で、入金消込作業を効率化できた
みんなが複合機の前で順番待ちしていた光景はなくなり、印刷と紙で送信する手間がなくなりました。
「請求書の電子発行によって、月末の業務負担は大きく軽減されました。以前は請求書を印刷し、封入して郵送する作業が300件以上発生していましたが、現在はその半分が電子化されています」と、鈴木氏は現場の負担削減を喜びます。
また、入金予定データと、ネットバンキングのファクタリングをカスタマイズで連携させたことで、時間がかかっていた入金消込作業を効率化できました。
外部システムとの連携によって事務作業が圧倒的に軽減され、より付加価値の高い業務に時間を使えるようになりました。
クラウド化で、働き方とBCP対策を見直し

オンプレミス環境では、バックアップデータの保管、ハードウェアの老朽化、災害などの障害時に「何かあったらどうするか」という漠然とした不安をいつも感じていました。
クラウド環境への移行により、災害時でも重要なデータはクラウド上に残り、迅速な事業復旧・継続が可能となります。
また、営業は外回りを終えた後の在庫確認や見積作成、受注入力など、帰社を前提とした業務から解放され、社外からでも必要な情報にアクセスできる環境が整いました。結果として、業務効率の向上だけでなく、働き方そのものの見直しにもつながっています。
「全体的に退社時間が早くなりました。19時にはほとんど人がいない日もあります。クラウドにしたから何か特別なことができるようになった、というよりも、無駄な制約がなくなった感覚です。システムは、導入して終わりではなく、運用を見直しながら使い続けていくものだと実感しています」と、“社員の働き方”と“会社のシステム”は密接な関係に気づいたという鈴木氏。
また、佐々木器材では、「楽商」メディカルだけでなく、会計システムやファイルサーバーなど、既存システムのサーバー移行先としても楽商クラウドを活用しています。すでに会計システムの移行は完了しており、今後はファイルサーバーのクラウド化も検討しています。
今後も業務や環境の変化に合わせて、現場に無理のない形で運用を見直しながら「楽商」メディカルを活用していく考えです。
お客様のご紹介
佐々木器材は、東京都板橋区に本社を構える医療機器・医療材料の総合商社です。
1960年の創業以来、医科器械や手術用インプラントをはじめ、医療材料、検査機器、画像診断装置、さらには介護関連機器や介護用品まで幅広い商品を取り扱い、病院や医療機関の多様なニーズに応えてきました。
単に商品を供給するだけでなく、医療現場の運用や課題を深く理解した提案力を強みとし、長年にわたり医療現場を支え続けています。
とくに、医療現場のDX化を通じた生産性の向上のための再構築は、不可避だと考えています。
佐々木器材株式会社
代表者:代表取締役 稲葉篤 / 業種:医療機器・医療材料総合商社
事業内容:医科器械・手術用インプラント(各種)・医材・検査機器・画像診断装置・什器備品・介護関連機器・介護用品・事務用品・日用雑貨(洗剤・消毒液・トイレットペーパー等)の販売業務
その他、新規開業及び事業継承のサポートを実施。
URL:https://www.sasakikizai.co.jp/
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